The インターゼミ in History (3)

■知性とは、つながりをつけられること
今日は、菅野先生が司会をされた。
冒頭、寺島学長から4つのテーマについて、自分の期待を込めた問題意識について話された。以下は、その内容。

(1)環境とエネルギー
Economy,Energy,Environmentの3つのEは互いに相関している。GDP一単位増やすのに必要なエネルギー倍率をエネルギー弾性値というが、かつての日本は1.3-1.4という時代があった。ところが、現政権の政策では、成長させながらCo2は25%マイナスしろということが言われている。その手段として原子力発電があるが、どこまで原子力に依存するかは考えなくてはならない。水も加えた自然エネルギーにしても、実質は15-20%といった所ではないか。さらに、従来の化石燃料の比重もどの程度に抑制するか。これらのベストミックスを考えねばならない。その本質を考えるほど、単なるエネルギー論、環境論だけではなく、経済成長をどうするのか?という大きな問題を考えざるをえなくなる。

(2)アジア
そこで経済が問題になるが、ギリシャ問題が即座に世界中に波及するように、現在の経済には、相互依存の過敏性と呼べる現象がある。そのような関係の中で、日本が特に意識しなくてはならないのが、アジアにおける位置関係。多摩大は日中韓大学連携を進めていこうとしているが、アジアとどう向き合うのか考えなくてはならない。アジア=中国というわけではなく、バンドン会議(1955)以降の旧アセアン諸国との関係史を見る必要がある。

(3)サービス産業
社会が成熟すると、「知遊休美」に関心が向くようになる。いわばソフト化だ。海外では、いかに喰っていくかという問題がある一方で、日本のような成熟化する経済の中でどのような意味ある価値を生み出すか。大事な問題だ。

(4)多摩学
ローカリティをきわめるほど、グローバルな問題に行きつくし、その逆もある。多摩を究めれば、世界のことがわかるはず。

以上のテーマの前提には、知のつながりがある。知性とはつながりをつけられる人のことで、頭の悪い人(イマジネーションをもてない人)は、情報につながりをつけ、つながりの中で情報を見直すということができない。結果として情報を解釈する座標軸が持てないということになる。
ゼミは情報のつながりを意識することができる場。情報は本人の能力に比例してしか高められない。わけのわからないことが話されていても、そこに浸って問題意識を磨いていると、ある日突然、怒濤のようにわかるもの。インターゼミでは、互いの異なるテーマも耳に入ってくることの効果を活かしたい。

■4テーマに分かれ、研究企画書制作へキックオフ
画像というのが、学長のお話。
これを踏まえ、事前に学生から提出してもらった希望を勘案して、4テーマ毎のメンバー氏名を菅野先生から発表。数名の移動があったが、すぐにグループ毎に分かれて討議となった。
6/12までに企画書をつくり、10分ほどのプレゼンを行ってもらうことになる。文献リスト、フィールドワークの計画などを盛り込むことが求められた。

■アジアアフリカとエネルギー
3Eの話は、学長自身が述べたように、エネルギー・環境問題の場ではいつも持ち出される課題だ。似た話は、水資源の世界でも言われている。5年ほど前まで、地球上の14億人が安全な淡水にアクセスできないと言われていた。その後、汚水、海水から用水をつくる造水技術が広まり、飲み水や食料生産のための灌漑用水につかわれるようになった。ここに日本の水ビジネス企業が活躍している。ただ、この造水。エネルギーをがぶ飲みしてつくられる。食料生産と水とエネルギー消費がそれぞれ相関していることが水研究者の間では課題として挙げられている。
どれを優先するかは、一国の中での水のベストミックス論なのだが、これが多国間関係の話になると、技術、エネルギー資源、食料生産物などの取引の相互依存、結果としての格差構造の話になる。

バンドン会議で大きな役割を果たしたナセル、ネルー、スカルノ達指導者たちは、後発近代化の中で生まれざるをえなかった開発独裁の指導者でもあった。3Eのベストミックス論と、多国間関係の中でのアジア・アフリカとの援助・格差問題はつながっている。
開発援助論とエネルギーミックスの話は、日本の戦略を考えるものさしを問われるという点で、いまでもつながっている。そう、ぼんやりと考えた。

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